クリニックの新型コロナ感染対策医療機関専門の建築設計・施工会社としてできること

医療機関専門の建築設計・施工会社として、関西・関東を中心に800余件のクリニックとお付き合いがある株式会社コンパスが、2020年4月以降に取引先のクリニックから問い合わせ頂いた100件以上の新型コロナウイルス対策”のご相談内容を大胆に仕分けました。
開業医の先輩ドクターが、どんな対策を講じられているのかを徹底解説します。

待合室・受付の接触・飛沫感染・隔離対策
  • 受付廻りの飛沫・接触感染対策(withコロナの期間の捉え方により異なる対応)
  • 待合室に隔離室、隔離スペース用カーテン設置(ウイルス不活性化カーテンの採用)
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非接触及び省接触材への器具変更
  • 水栓金具を自動水栓やタッチレス水栓に変更
  • 診察室の扉を半自動化・抗菌性、消毒メンテナンス性を加味
  • WCまわりの設備を非接触型に変更
  • 入口扉を自動扉に変更
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クリニックの換気量確認と改善のご提案
  • 現在の換気量をチェック!クリニックに望まれる排熱バランスと換気量のご提案
    (建築基準法が定める換気量とクリニックで望まれる換気量は異なる?)
  • 補助金対象となるエアコンへの更新
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ウイルス対策素材の有効性を検討
  • 抗ウイルス素材
  • ウイルス不活性化素材
  • ウイルス除菌素材
  • アルコール消毒等のメンテナンス可能素材

※ 数多くの製品が登場していますが、まだ市場での第三者的な視点での実証を経ている製品はまだまだ少ないため、専門会社としては“ご提案がしづらい”一面も…

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手洗い設備の増設
  • 待合室・WCの外など、感染対策に一番効果があるとされる手洗い設備を増設
  • Withコロナ時代に合わせた新しい待合室の設備としての提案も増えています
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1位待合室・受付の接触・飛沫感染・隔離対策

まず1位は、このご相談。
クリニックでは2020年8月現在まで集団感染の発生はありませんが、患者さんの安心や患者さんと直接コミュニケーションを取る機会の多い受付スタッフの安心面を考慮して、“目に見える対策”をされています。

① 受付カウンター全体を明るいシールドガラスで素敵にリニューアル

対コロナのさまざまなドクターのお話を伺う中で、“コロナと付き合っていかないといけないと考えられている期間(withコロナ期間)”はさまざま。
比較的長い期間、そして次なる感染症の事も視野に入れて受付まわりの明るさや接しやすさは活かしながら、カウンター全体をシールドされるクリニックもいらっしゃいます。

② 市販品のアクリル板やビニルカーテンを使用して感染症対策

受付まわりの対策としては、最もお手軽で安価に納まります。
メリットとしては、価格面(インターネット販売で1~3万円程度)、そしてお手軽さ(要らなくなったら撤去できる)という点にあり、現在インターネット販売でもいろんなサイズのアクリル板が紹介されているので、それぞれの広さに合わせた購入が可能です。
デメリットとしては、アクリル板やビニルカーテンの場合、アルコール等で消毒して継続的に使用をする際に、アルコールと反応して材料そのものが溶解したり、白化してしまったりしてしまうという点。緊急避難的な設置や、時節に合わせて設置と撤去を繰り返すのに使用する分には問題はありませんが、年単位での長期的な使用をされる場合は、劣化に合わせたこまめな買い替えも必要になります。

③ 隔離室・隔離スペースの設置

以前から小児科や耳鼻咽喉科では季節性インフルエンザ等の感染症予防に計画をされていることが多い、隔離室や、待合室の一部を必要に応じて隔離スペースとして兼用することのできるカーテン。
どちらかというと“飛沫感染対策”の一環として設置されることが多かったですが、現在、接触感染対策も加味された、“ウイルスの不活性化を短時間で促す素材”も登場して、対コロナ対策を考えつつもこの機会に処置室のベッド廻りのカーテン等とともに、買い替えをされるケースも増えています。

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2位非接触及び省接触材への器具変更

“地域医療の確保に必要な診療を継続する医療機関への支援”の補助金対象として、患者さんが直接触られる部位を非接触ないしは、省接触材料へと変更されるケースも増えています。

① 診察室の入口を半自動化

以前から診察室の入口を半自動で計画されているケースは一般的ですが、弊社が標準採用させて頂いている扉は、アルミ製で軽く、化粧材となるシートは、アルコール・次亜塩素酸に対する消毒対応仕様となっており、もちろん棒取っ手も抗菌仕様。また半自動機構の経年摩耗も百万回検査でその耐久性を実証した製品です。
対コロナ対策の一貫としながらも、クリニックの印象を明るくリニューアルし、使い勝手も良くなる!ということで長く診療をされているクリニックからもお問い合わせが増えています。

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② 水栓金具をタッチレス化

こちらも以前から新規開業の際には、診療科目によって弊社で推奨させて頂いている製品ですが、コロナ対策の一環として、そのニーズが高まっています。

  • 自動水栓金具 患者さんの手洗い器等上の写真はその一例になります。(既存手洗い器の仕様により、選定材料が異なるため、必ず工事店等にご相談ください。)

  • センサー式水栓金具 ドクター・スタッフ用の手洗い主に診察室や処置室の流しに計画採用されます。自動・手動の切り替え方法が容易なため、非接触で手を洗いたいとき、器具洗い等で流しっぱなしで使いたいときなど、用途に応じて、使い分けることが可能です。

③ その他の非接触化対応

上記でご紹介をさせて頂いた製品以外にも非接触・省接触のご相談を頂く事があります。
もっともご相談が多いのは、“トイレ”に関するご相談で、主に、以下のようなご相談を頂きます。

  • トイレの照明を、自動センサー式に変更したい。(スイッチでの接触感染防止)
  • 便座フタが自動的に開閉する便器に変更したい。(ウイルス飛散予防や便座開閉時での接触感染防止)
  • “流す”ボタンを、自動洗浄機能付きの便器に変更したい。(流し忘れ予防・レバーの接触感染予防)

便器については、さまざまなグレードや仕様がありますが、現在は、ある程度中間グレードの製品から上記の仕様の選択も可能になっています。
また注意点として、診療科目によっては、患者さんの便の状況確認が必要になる科目もありますので、“自動で流れる”という機能が返って不便になることもあります。運用に応じた機能選択をご検討下さい。

またその他にも、

  • クリニック入口扉を自動扉に変更したい。

等のご要望があります。

“対コロナ”だけを意識されるのではなく、この際、使い勝手良く、患者さんさまにとっても長くメリットとなるリニューアルを考えられているクリニックがたくさんあります。

3位クリニックの換気量確認と改善のご提案

新しいクリニックを計画した際、いくつかの会社に見積を依頼したときに、意外なコスト差になってくるのが、『設備工事』です。
これは見積をした会社(又は設計事務所)が、『クリニックという用途の場所にどのような設備がどの程度のスペックで必要か』という考え方の違いが表れている部分になりますが、この考え方の違いが、“対コロナ時代”になって現れてきました。
設備の中で大きなコストを占める『空調・換気設備』。その中でも、換気設備の改善をご相談頂くケースが増えています。

① クリニックという用途に必要な換気量

実は、建築基準法上に定められる無床診療所(基準法上の用途は店舗)の場合、法的に最低このくらいは必要と考えられている換気量は、1時間あたり0.5~1回程度、区画容積内の空気が入れ替わればよい、という事になっています。
今回の新型コロナを受けて、厚生労働省が推奨している換気量というのが、ビル管理法で定めている1人あたり30m3(立米)/時間という単位なのですが、クリニックは実際には、診察室やエックス線室、WCといった小部屋も多いため、部屋ごとに換気計画を練らなければなりません。ちなみに室にもよりますが、上記のビル管理法に定められる換気量は、およそ1時間あたり3~5回程度、空気が入れ替わる程度の量と見なすことができます。
上記の単位(1人あたり30m3/時間)で考えると、例えば診察室であれば、室にいる人がドクターと患者さんだけなのか(2人)、又は介添者や看護師さんも一緒にいるのか(3~4人)、で時間あたりの必要換気量は異なってくるのですが、弊社では、コロナ以前からビル管理法に基づく換気量程度は必要と考えていたため、建物側の容量上の制限を受けない限りは、室用途に合わせて1時間あたり3~5回の換気回数で計画をするように心がけています。
これからクリニックの“必要な換気量”を検討していくにあたっては、この厚生労働省の指針は、クリニック設計の大きな一つの指針となると思っています。
また今回コロナの対応にあたって、『目に見えない対策』を取られる中で、弊社のお客さまからも『換気回数のお問い合わせ』を複数頂きましたが、『およそ1時間あたり3~5回』ときいてご安心を頂けたクリニック、そして患者さんさまにもその安心を伝えるため、待合室にその旨を掲示されていらっしゃるクリニックも多くあります。

② 換気設備と空調設備は密接に関係している

換気回数を多くしたとき、当然、室内空気の入替量が大きくなるため、エアコンの容量も検討が必要です。エアコンの容量は、室の容積、窓等の外気温の影響を受けやすい部分の面積等によって試算が行われますが、この試算の際、そもそも1時間あたりに何回の換気回数を基準として考えるか、という点が室の排熱効率に影響を与えます。
よって換気設備を再検討するときは、空調設備と合わせての提案検討となりますが、換気設備だけで記載をすると例えば下記のような改善方法があります。

  • 個別の部屋での換気容量UP(給気量も同時にUPすることが大切なポイントです)
  • 感染隔離室など、正圧としたい室、負圧としたい室の検討
  • ロスナイ設備のフィルター交換

③ 『目に見えない空気の流れ』に着目する

室内の空気の流れは目に見えないもの。もともと弊社では診察室の空気の流れは、下記のA図又はB図のような計画を基本にしています。

Withコロナ時代に突入した今、どちらかというとB図の考え方の提案が採用されるケースが多くなっています。
空調・換気のレイアウトは、一度行うとなかなかやり替える事がコスト面でもハードルが高いため、優先すべき順位を考えて計画することが大切になります。

  • 【A図の観点】“お客さま”である患者さんに極力ニオイが流れ込まないようにすること。体温に変異がある(熱がある)患者さんの正面にエアコンの風が当たらないように考慮すること。

  • 【B図の観点】“感染原因”となりえる患者さんの飛沫、エアロゾルによるドクターの感染リスクを軽減すること。体温変異のある患者さんにエアコン風の影響があるレイアウトの場合は、風向調整板(後付ウェーブルーバーなど)で補完する。

④ その他

この項では、“換気設備におけるコロナ対策”を記載致しましたが、もう少し広げて、空調機器でのコロナ対策という点では、現在発布されている“地域医療の確保に必要な診療を継続する医療機関への支援”の補助金にも適応できる除菌エアコンが各メーカーから発売されていますので、ご参考頂ければと思います。

4位ウイルス対策素材の有効性を検討

新型コロナウイルスの拡大を受けて、巷には多くのウイルス対策素材が提案のテーブルに出てきています。大別すると、下記のような素材になります。

  • 抗ウイルス素材
    …ウイルスの繁殖を予防する素材
    (代表的なもの…壁紙・床材・家具等の化粧材 ※一部メーカーのみ)
  • ウイルス不活性化素材
    …エンベロープに作用するなどし、ウイルスを不活性化に導く素材
    (代表的なもの…カーテン・タイルカーペット・クリーニング ※一部メーカーのみ)
  • ウイルス除菌素材
    …対ウイルス設備に多く、ウイルスを死滅又は除菌する素材
    (代表的なもの…オゾンや遠紫外線C波等を利用した空調換気系の設備)
  • 消毒等でのメンテナンスが可能な素材
    …耐アルコール、耐次亜塩素酸の素材
    (代表的なもの…待合ソファ用ビニルレザー張地、診察室等の床シート材・家具等の化粧材 ※一部のメーカーのみ)

インターネット上でも多くの商材を確認することが出来ますが、新型コロナウイルスに対する治療薬やワクチンを開発するために必要な臨床試験や治験などの実証行程と同様に、これらの素材に対しても、どこの製品がどの程度の効果があり、またその効果に持続性があるのか、という実証行程が必要ですが、現在のところ、メーカーの試験結果はあるものの、実際の使用ベースでの第3者的な実証例が少ないものがほとんどになります。 現在は一般的になったLED照明も実際の市場価値として用に足るスペックになるまで、数年が掛かりましたが、これらの素材も実際の用に足るのか、という面については、今すぐの判断は難しく、どちらかというと、『患者さんに安心してご来院を頂く』、『スタッフに安心して働いてもらう』という側面効果での導入も多いのかな、と感じます。

5位手洗い設備の増設

4位の素材の問い合わせを頂くプロセスの中で、『やっぱり結局は手洗い習慣が大切』という観点に戻っていくこともしばしばあり、直近の弊社のご開業案件の設計では、下図のように、待合室に手洗い設備を設置する。という案件も少なからず増えてきています。

これまでは患者さんが手を洗おうと思った時、WCの中や前室(洗面所)に手洗いがありましたが、容易かつ習慣的に手洗いを促していくという予防意識の向上効果を狙って…という面もあります。

現在は、クリニックの入口にアルコール消毒液を置かれているところが多くありますが、これからwithコロナが終息に向かっていくときに、アルコールは置いたままになるのか、終息さえすれば手洗いの習慣づけは必要なくなるものなのか、といった疑問を、医療機関が予防意識の向上に向けて働きかけていくという点で、明るい発想だと感じます。

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