ワンポイントアドバイス  
 

ワンポイントアドバイス*診療所の設計

診療所の設計(2)〜病院と診療所の違い〜

“病院の設計”と“診療所の設計”の違いについてお話をする前に、“病院”と“診療所”の違いについて考えてみましょう。 ここで言う違いとは、医療法や建築基準法などで規定されているような制度的なことではなく、そもそもの業務の流れ(もしくは進め方)のことを指します。簡単に説明すると、「(大局的に見て)病院の業務は “分担”が多いのに対して、診療所の業務は“兼務”が多い」と言うことです。



例えて言えば、私達の仕事である建築業界の場合、大きな企業ですと、 会社の中で経営や営業、設計、監理、購買、現場、事務人事、庶務…などの 部門が業務ごとに分かれていて、一つの会社を構成しています。 それに対して、弊社(コンパス)くらいの10人以下くらいの会社ですと、 私は経営に関することに関わりながら、営業もしますし、 設計もしますし、時には現場に出る事もあります。 私だけでなく、他のスタッフも重きをおくジャンルは違いますが、 いろんな業務を兼務して、各々をカバーしあっています。 それを会社の建物に照らし合わせて見直すと、 大きな企業なら、役員室、設計部、監理部、購買部…など と部門ごとに部屋を分けていますが、 コンパスのような会社ではそんな風に業務で部屋を分けるようなことはしていません。

話を元に戻しますと、病院の場合、 受付には受付の職員がいて、ほぼ受付業務しかしませんし、同様に薬局には薬局の職員が、事務には事務の職員が、検査には検査の職員が…そして、先生方(医師)も、 ○○科の診察室で一日のほとんどの業務を行っていると思います。 それが、診療所ですとどうでしょう? 受付の職員は受付以外に会計やカルテまわしくらいはするでしょう。 (本来だめですが、)実際には調剤の補助や尿検査の補助などをしているところもあります。看護の職員も、検査や問診などいろいろと兼務します。 そして、一番たくさん兼務することになるのは先生方(医師、特に管理医師)です。 先生方は、診療所の経営から人事、管理、経理、財務…そして、 本来の診療、検査などを行う事になるのです。

「病院」と「(小規模)診療所」の違い 「病院」と「(小規模)診療所」の違い

こうしたことを簡単に模式図で示すと図1のようになるかと思いますが、 病院にお勤めになっていた先生は大きな組織の“一部” を分担されて受け持っていたのに対して、 新規開業された後の先生方は組織そのものとなり、 組織の中枢の業務を一手に兼任して受け持つ事になるのです。 当たり前のことなのですが、 大企業の会社の建物と中小の会社の事務所とが違うのと同様に、 このことが、病院と診療所の施設の設計の考え方に大きく 影響を与えるのは当然だという事がわかっていただけるかと思います。


この一連のコラムでは、 便宜的に、病院及び中規模以上の診療所のことを『病院』、 ビル診などに代表される小規模な診療所のことを『診療所』と呼ぶことにしています。


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