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ワンポイントアドバイス*診療所の設計
私が先生方とお打合せをしていると、稀にとてもピントを外したような要望を出されてくる方がおられます。 ![]()
ビルのテナントに入られる先生で 「最近の診療所では絶対に風除室をつけないといけないのです!」と強く主張する先生がいらっしゃいました。 実際にそのテナントの状況を確認すると、ビルの中間階で、外から風など全く入ってこないテナントビルでした。 (2)車椅子利用者用トイレ 「便所は車椅子の患者さんが使えるように1.8m角以上にして欲しい」とご相談をいただいた先生がいらっしゃいました。
現場を見に行くと、そもそもそのテナントは3階にあり、テナントまで行くには階段しか無く、
そもそも車椅子の患者さんがそこまで来ることができない…と言うことがありました。 (3)診察室の大きさ 「診察室は2.5m角で作ってくれ!」とか強く言われていた先生もいらっしゃいました。 (4)スタッフルーム 「従業員に気持ちよく働いてもらうためにスタッフルームはゆとりをもって計画して欲しい。 そして、院長室などからはできるだけ離して計画して欲しい」とおっしゃる先生もいらっしゃいました。 これも、一見、正しそうですが、小規模な診療所の場合、 スタッフルームを広く取るのは計画的にバランスが悪い場合が多く見受けられます。 また、私の設計では標準的には敢てスタッフルームを独立させないカタチで計画しますが、 それはスタッフルームを独立させると、スタッフの方々がそこに溜まり、 挙句の果てには、院長先生や患者さんの悪口を言っていたり、 喋ってばかりで帰る時間が遅くなって意味のない超過勤務手当てをつけないといけなくなったり…と言うことも、度々、見受けられるからなのです。 例を出せば他にもたくさんあるのですが、
(1)〜(4)のような話は、一見、正しく感じるのですが、
状況や優先順位を考えると必ずしもその選択が正しいとは限らない…という例です。
このような話をされる先生方の多くは、私達と会う前にインターネットのサイトや本で事前に勉強し、
その知識で私たちに要望を出されているようなのですが、
こうした表面的な知識は時として、設計の本質や、
大切にしないといけない目的を消し去ってしまう可能性があります。
本に書いてあるようなこのような“結果だけ”の記述は、
いわゆるマークシートの試験問題のような“○”や“×”を付けさせるようなもので、
その積み上げで良い設計ができると言うことはない…と私は考えているのです。 また、私が見ている限りでは、ほとんどのサイトの情報や本に書かれている情報は、
私が診療所を設計する上で、
一番、出発点だと考えていることに触れていません。
HOWTO本のようにわかりやすく書こうとはしているのですが、
出発点が違うのですから使いやすい設計に結びつかない…
特に私が危惧していることは、「病院と(小規模)診療所の違い」の事です。
実は、書店で売っている診療所の設計に関する書籍の多くは、
「病院」か「中規模以上の診療所」の設計について書かれているものが多く、
新規開業の大半を占めるビル診のような小規模診療所の設計の注意点について
書かれた書籍は無いのではないかと感じています。
つまり、病院や中規模診療所の設計のノウハウで、
ビル診などの小規模診療所を計画している例がとても多く見られるのです。 私達はこのようなことを意識しながら、 普段の設計を行っているのですが、 このコラム集では、こうした“○”“×”で判断しない診療所の設計や、 実務に即した計画の考え方について書いていければと考えています。 尚、ここに取り上げるコラムは新規開業のドクター向けのセミナーや講演会などで、 話をさせていただいている事を元にしますが、 インターネットで提示できない部分もあります。 そんな部分については、多少、変更を加えるか、 削除させていただいております。あらかじめご了承ください。 尚、一連のコラム内では、 便宜的に病院及び中規模以上の診療所のことを『病院』、 ビル診などに代表される小規模な診療所のことを『診療所』と呼ぶことにします。
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